(Photo by Daniel Hentz, © Woods Hole Oceanographic Institution)
Woods Hole Oceanographic Institutionの記事
”How is human health impacted by marine plastics?”
以下、記事の抜粋を翻訳。
１年以上にわたる共同執筆を経て、今年３月、30人の執筆者が、215ページの文書「プラスチックと人間の健康に関するミンダルー・モナコ委員会報告書 The Minderoo-Monaco Commission on Plastics and Human Health. 」を完成させました。
この研究は、プラスチックの潜在的な影響に関する現在の情報をすべてまとめようとするものです。これまでの報告書と異なるのは、人体への影響に焦点を当て、公衆衛生や医学界、さらにはプラスチックに関する国際条約の交渉に携わっている人々を対象としていることです。
また、プラスチック廃棄物の影響だけでなく、石油などの原材料の採取からプラスチックの使用、環境への放出に至るまで、プラスチックのライフサイクル全体における影響もカバーしています。また、プラスチックの経済的・社会的コストについても検討されています。
・重要な発見がいくつもありますね。特に強調したいものがあれば教えてください。
重要な発見の一つは、プラスチックが海洋や人間の健康に与える影響は、不適切な廃棄に関連するものに限らず、原料（特に石油）の採取から製造、使用、廃棄に至るまで、プラスチックのライフサイクルのすべての段階に関わっているということです。その影響は、プラスチックそのものだけでなく、プラスチックに添加される多くの化学物質からも生じています。
・海中のプラスチックやマイクロプラスチックは、人間の健康にどのような影響を与えるのでしょうか？
プラスチックの製造時に放出される、あるいは製造時にプラスチックに添加される化学物質の多くは有毒であり、人々のさまざまな病気との関連が指摘されていることが分かっています。
また、多くの人が、マイクロプラスチックやナノプラスチック（プラスチックが環境中で分解する際に発生する微細なプラスチックの破片）にさらされることによる健康への影響の可能性について懸念しています。私たちは、人々が食品（魚介類を含む）、飲料水、空気からの吸入など、多くの原因からマイクロプラスチックにさらされていることを知っています。しかし、その曝露によって起こりうる健康への影響については、まだよく分かっていません。
・WHOIの科学者として、また一市民として、世界的なプラスチック条約に期待することは何ですか？
プラスチックが海洋や人間の健康に与える影響は複雑であり、その影響を軽減するために効果的な条約を作成する交渉担当者の苦労は察するに余りあります。プラスチックには多くの利点があるため、その利点を維持しつつ、不必要なプラスチックの使用と全体的な影響をいかに減らすかが課題です。私の希望は、プラスチック廃棄物の問題だけでなく、生産と使用を含むプラスチックのライフサイクル全体に対応する条約を作ることです。
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