海洋プラスチック汚染

プラスチックそのものの毒性と、汚染物質を吸着する性質

 プラスチックは、基本構造となるポリマーに、様々な添加物を加えることで、柔らかさ・硬さ、色や透明さ、丈夫さ、温度への耐性、野外での強さなどがプラスされ、高機能な物質となります。添加剤には、可塑剤、硬化剤、着色剤、安定剤、難燃剤、防カビ・抗菌剤、芳香剤など、様々なものがあります。海に流れ出たプラスチックは、やがて劣化して細かくなります。劣化の過程で、プラスチックに含まれていた有害添加物が海水中に溶け出します。 

可塑剤のフタル酸エステル
着色剤の重金属

 例えば、内分泌撹乱物質(環境ホルモン)として有名なフタル酸エステルは、柔らかい塩ビ(ソフトビニール:ソフビ)に、軟化剤や可塑剤としてたくさん含まれています。プラスチック以外では、石鹸や化粧品など、香り付きの製品に香料を溶かす時にも利用され、「香料」としてまとめて表記されています。このため、香料と一緒に、空気中に広がっています。ヒトに対しては、フタル酸エステルを利用した母親から、脱男性化または女性化した男の子が生まれたとの報告があり、日本でも生殖・発生毒性が確認されています。また、発ガン性も疑われています。

 プラスチックの着色剤に含まれる重金属
プラスチックに色を付ける着色剤の中には、Zn(亜鉛)、Cr(クロム)、Pb(鉛)、Ti(チタン)、Ba(バリウム)、Mn(マンガン)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、Br(臭素)、Sb(アンチモン)、Cl(塩素)、As(ヒ素)、Cd(カドミウム)などが、微量ながら含まれています。

身近なプラスチックに含まれる重金属と、その有害性:
カドミウム、水銀、鉛、スズは、人体毒性。
ニッケルには、発ガン性。
チタンには、発ガン性・細胞死・機能低下。
バリウムは、毒物・劇物指定で、神経への影響。
アンチモンも、毒物・劇物指定で、発ガン性や肝機能系障害。
塩素は、毒性・発ガン性・呼吸器系障害。
臭素は、猛毒。
アルミニウムは、神経系障害。

使えば自分が、捨てれば海が、燃やせば大気が、様々なかたちで汚染されてしまうプラスチック。

詳しい情報は、『地球をめぐる不都合な物質 拡散する化学物質がもたらすもの』やプラスチック汚染とは何か』をごらんください。