海ごみを減らすアイデア

 海岸に漂着する海ごみの多くは、暮らしの中の使い捨てプラスチックと、網や浮きなどの漁具です。漁具のごみを減らすのはちょっと難しいけれど、私たちの暮らしの中から出るごみは、自分しだいで量を減らせます。まずは、普段何気なく買っている、安くて使い捨ての物を、質やデザインが良くて長持ちする、上質なものに変えてみるのがおすすめです。使いやすくて愛着がわくものは、簡単にはごみになりません。

・暮らしのアイデア 
 海ごみを減らすための暮らしのアイデアに取り込むのは、買うところから捨てるところまで、基本的には暮らしの習慣を変えていくこと。一気に全部は大変だし、無理しても続かないので、できるところから、少しずつ。自分の暮らしに合ったやり方やデザインに工夫するのも、楽しいですよ。

何度も使える、便利な物を持ち歩く
可能なら、瓶入り商品を選ぶ
個包装のお菓子は避ける
天然素材の服を選ぶ
ビニール袋は洗って使う
ごみは細かく分別する
生ごみは堆肥にする

使い捨て商品は極力買わない、もらわない そのために、何度も使える便利なものを持ち歩く
 マイボトル、マイカップ、マイ箸、マイスプーン、マイフォーク、マイストロー、マイバッグなど、何度も使える物を常に持ち歩くことで、不要な使い捨てプラスチック商品を買ったりもらったりするチャンスが減ります。

可能なら瓶入り商品を選ぶ プラごみからは、有害化学物質が溶け出ている
 海岸には、お茶やミネラルウォーターをはじめ、お酒や醤油などが入っていた、様々なプラスチックボトルが大量に打ち上がります。野外で劣化したプラスチックからは、有害な化学物質が周囲に溶け出します。海の化学汚染を考えると、できるだけ瓶入りの飲料や食品を選ぶことも大切です。またプラスチックは、ぼろぼろに劣化していなくても、製造されてからの時間が長いほど、置かれている温度が高いほど、化学物質が中味にたくさん溶け出します。特に食品に関しては、化学物質が溶け出す心配がない瓶入り商品の方が安心です。

不要なごみを買わないように お菓子はできるだけ個包装を避ける
 多くのお菓子は中身が個包装されているので、一袋買うと、たくさんのごみも一緒に買っていることになります。子供達に配ったり、野外に持ち出すには便利ですが、食べるたびにごみが出ます。可能なら、個包装されていないものを買いましょう。開封したら、お気に入りの容器に移し変えたり、小さな容器に小分けして保存するのがおすすめです。

天然素材の服を選ぶ
 衣類からは細かい糸くずが出ますが、それがマイクロプラスチックとして海に流れています。衣類を買うときは、可能ならコットンや麻などの天然素材を選びましょう。衣類を全部一気に買い換えるのは無理なので、化繊からは有害化学物質が溶け出すことを考慮して、直接肌に触れる下着類から天然素材に入れ替えるのはいかが? 最近流行りのストレッチ生地には、化学繊維が混ぜてあるので、100%天然素材の衣類は以前より少なくなっています。そこで、90%以上が天然素材ならOKなど、マイルールを決めるのもあり。
 質のいい天然素材の衣類は、古着の中に見つかるかもしれません。

ビニール袋は洗って使う
 マイバッグを忘れてしまった時は、レジ袋をもらうことになります。レジで小銭やカードを探している間に、薄いビニール袋に商品を入れられてしまうこともあります。袋を断れずにもらってしまった時は、汚れたり破れたりするまで何度も使いましょう。薄いビニール袋も、油物を入れなければ洗って干して使えます。

ごみは細かく分別する
 ごみの分別の方法は、地域によってずいぶん異なります。数種類に分別する地域が多いですが、50以上に分けて回収する地域もあります。日本の場合、回収されたごみの多くは、埋め立てではなく焼却処分されます。海外では殆どが埋め立て処理され、その一部が風雨によって海に流れ出しています。これからゲリラ豪雨が増えれば、流出するごみもさらに増えることになるでしょう。本来なら埋め立て処理に出すごみも、捨てる前に可能な限り分解して分別すれば、資源として再利用できる部分も増えます。埋め立て場から飛散するプラスチックごみの量も減り、海ごみの発生量を減らすことができます。

生ごみは堆肥にする
 暑い夏は特に、燃えるごみの収集日まで生ごみを貯めておくのは大変。ごみ収集場所に出すと、食べ物の匂いにつられてカラスなどがやってきて、ごみ袋をやぶり、周囲にごみが散乱することもあります。散乱したプラスチックごみは、風雨で川に入り、海に流れ着きます。生ごみは、生ごみ処理機などを使って乾燥・処理すれば、匂いも出ないし、軽く小さくなります。ごみ出しも楽になり、カラスなどの被害も減って、海ごみの発生源を減らすことができます。

 生ごみの処理は、キッチンに置ける電動式の生ごみ処理器の他に、購入しやすい価格の手動式もあります。畑があれば、堆肥を作るコンポスターを設置する方法があります。実はベランダでも、嫌な匂いを出さず、簡単に生ごみを分解して堆肥にすることができます。生ごみ堆肥の作り方を検索すれば、手作りの生ごみ処理容器の作り方や管理の仕方について、たくさんの情報が手に入ります。なまごみの分解=堆肥づくりは、自然との共同作業。毎日のごみの量や気候などによっても、分解の具合が変わります。自分に合ったやり方を工夫するのも、楽しいですよ。