おすすめの本

 海ごみの現状を知り、海ごみの問題を理解して、より良い解決策を選択するために、参考となる書籍をご紹介します。

■ 海の基本
海洋学 (原著第4版)

われらをめぐる海〈NF5〉
シルヴィアの海 ―海中6000時間の証言
ワールド・イズ・ブルー 乱獲、汚染、絶滅-母なる海に迫る危機

■ 海辺の漂着物
ビーチコーミング学

■ 海ごみを減らす方法
プラスチック・フリー生活 今すぐできる小さな革命

沖縄のゴミをなくす本 

■ 海の化学物質
地球をめぐる不都合な物質 拡散する化学物質がもたらすもの
プラスチック汚染とは何か

■ 海ごみ問題のまとめ・啓発
海洋プラスチック 永遠のごみの行方
脱プラスチックへの挑戦 持続可能な地球と世界ビジネスの潮流
容器包装をみなおそう! 海洋プラスチックごみ削減に向けて

海を脅かすプラスチック 漂うレジ袋は氷山の一角
プラスチックスープの海 北太平洋巨大ごみベルトは警告する
海はゴミ箱じゃない!
海辺のペレットをさがして
プラスチックの海 ―おびやかされる海の生きものたち
海ゴミ ―拡大する地球環境汚染
『ひげ先生の書簡 漂着ゴミ -海岸線の今を追って』

■ ごみ問題
リサイクル 回るカラクリ止まる理由

枝廣淳子の 回収ルートをたどる旅

 

★ 海の基本
海洋学 (原著第4版)』 原題:Invitation to Oceanography, Fourth Edition ポール・R.・ピネ著、東海大学出版会 (2010/03/31)  目次
 海の全体像をわかりやすくまとめた、海洋学のテキスト。各章には、理解を助けるガイドや質問、Boxコラムがある。著者によると、船員でも、サーファーでも、浜で何らかの生業を得ている人でも学生でも、誰でもが、海を知ることができるよう、親しみやすい文章に、豊富なイラストや写真が載せられている。目次を見ても分かるとおり、海洋学は理科の全ての分野を含み、地球の7割を覆う海は、地球の気候や自然環境を支配している。気候変動や海ごみ問題など、地球規模での自然環境問題を包括的に理解するには、海洋学の幅広い知識は必要不可欠。

 

われらをめぐる海〈NF5〉』 原題:THE SEA AROUND US レイチェル・カースン著、早川書房 (1977/06/15)  目次
 海の尽きせぬ不思議と魅力を、科学者の目で詩情豊かに語る”海のバイブル” (カバー より)

 海に囲まれた日本なのに、地球の7割を覆う海についての知識(海洋学)は、なぜか根付いていない。「海洋」についての書籍の多くは、漁業や船舶に関するものが多く、地球システムとしての海洋を広く網羅した書籍は、圧倒的に少ない。そのようななかで本書は、地球の気候を司る海のしくみを身近に感じることができる入門書として、一般の読者には最適だろう。堅苦しい学術書とは異なり、繊細で美しく、豊かな詩情にあふれた文章は、広大な海の世界に読者をいざなう。初版は1951年で、書かれたのは今から70年ほども昔。数値や情報は古い部分もあるけれど、海のしくみの基本は変わっていないし、逆に現在のように荒らされる前の海を知ることもできる。海洋生物学者である彼女は、『沈黙の春』の著者としても有名。

 

シルヴィアの海―海中6000時間の証言』 原題:SEA CHANGE  A Message of the Oceans シルヴィア・A.・アール著、三田出版会 (1997/05/30)  目次
 海と人類の未来にとって最大の脅威は無知である。知れば関心が生まれ、関心が集まれば理解の鍵を探し当てる希望もわく。わたしたちの生命を支える自然の体系とバランスをとり、数十億年も人類がいない時を経た地球、再びそうなっても何の不思議もないこの惑星の上に、人類の永続をかなえる場所を確保できるかもしれないのだ。 (はじめに より)

 今こそ、一人ひとりの小さな事柄から公共全体の決まりまで、地球の健全な営みを守って長続きさせるための政策を立てるべき時だ。これまでにも、これからも、同じようなチャンスは二度とない。効果を上げるためには、生態系が今以上にダメージを受けてしまう前に、与えられた利害関係がはっきり定着してしまう前に、厄介な「後戻りできないところ」まで行ってしまう前に、行動を起こさなければならない。
 今ならば、人類のために豊かで持続的な未来を築くチャンスがある。困難な課題を解決できないことを理由に、あるいは無関心や貪欲さや知識の不足から生まれた怠慢のせいで未来を築こうとしないなら、ヒトという種はほんの短い間の存在で終わってしまうかもしれない。この地球上で太古の昔から続いている生命伝説の中で、たった三〇〇万年か四〇〇万年だけ輝いた花火のように。 (第17章 より)

 

ワールド・イズ・ブルー 乱獲、汚染、絶滅-母なる海に迫る危機』 原題:The world is blue : how our fate and the ocean’s are one シルビア・アール著、日経ナショナル ジオグラフィック社 (2010/07/26)  目次
 約40億年前に生命誕生の舞台となり、今もすべての生物にとってかけがえのない海に、重大な危機が迫っている。米ナショナル ジオグラフィック協会付き研究者のシルビア・アールは警告する。1950年代以降、大型魚の数は約1割にまで減少し、浅い海のサンゴ礁のほぼ半数が消失。さらに、“死の海域”の急増や酸性化など、深刻な問題が山積みにもかかわらず、海の保護は遅れている。海はもう待てない。海を知り、行動することからまず始めよう。海と私たちの未来を守るために―。
 豊富な体験と最新の知見をもとに、海洋生態調査の第一人者が訴える「青い地球」の憂鬱な現実と明日への処方箋。 (カバーの説明 より)

 

★ 海辺の漂着物
ビーチコーミング学』 池田 等著、東京書籍 (2005/08/15)  目次

 子供のころ拾い集めたコレクションは今も記録とともに保管しています。これらを眺めると拾ったころの情景がこと細かく甦ってきます。コレクションは過去40年における海の環境の変遷、そして時代の流れなどを秘めたカプセルです。いくつもの生物が消え、一方で外来種や環境悪化にびくともしない生物が繁殖し、子供のころの海の自然環境とは大きく変わったことが心の傷になっています。 本冊子は、一人でも多くの方々にビーチコーミングに興味をもっていただけるように、湘南や三浦半島をモデルとしてまとめたものです。本冊子をきっかけとしてビーチコーミングに親しみ、ひいては海の環境を大切にする心が芽生えることを切に願っています。 (はじめに より)

 

★海ごみを減らす方法
プラスチック・フリー生活 今すぐできる小さな革命』 原題:LIFE WITHOUT PLASTIC  The Practical Step-by-Step Guide to Avoiding Plastic to Keep Your Family and the Planet Healthy シャンタル・プラモンドン、ジェイ・シンハ著、NHK 出版 (2019/05/25)  目次
 プラスチック汚染の問題は、私たちの健康にも深く関わっている。使用中に漏れ出す化学物質の影響とは? 毎日、使い続けても、本当に安全なのか? 15種類のプラスチックを、添加されている化学物質と共に徹底解説。プラスチックの日用品を8割近く減らす簡単な6つのアクションのほか、さまざまな代替品についても解説する。<プラスチック・フリー生活>スタートガイドの決定版! それでもまだ ペットボトルを買いますか? (書籍カバーの解説)

 

沖縄のゴミをなくす本』 エフエム沖縄+沖縄のゴミど~するべきか考える会編、エフエム沖縄 (2006/05/25)  目次
 沖縄ごみ拾いドキュメント+島袋光年描きおろしマンガ+23人のアーティストのメッセージ+ごみ拾い実践法。ごみがなければ、もっときれい。沖縄も、人の心も。

 

★海の化学物質汚染
地球をめぐる不都合な物質 拡散する化学物質がもたらすもの』 日本環境化学会編著、講談社 (2019/06/20)  目次
 かつて社会問題にも発展したダイオキシンに代表される化学物質による環境汚染だが、国を挙げた排出規制や環境技術の革新によって排出量は減り、問題は解決したように思われていた。しかし、近年、工業化の進展が著しい中国などの新興国や先進国の環境中に蓄積された化学物質が、大気や降雨、海流などを通じて、世界各地に拡散していることがわかってきた。
 汚染はダイオキシン類にとどまらず、水銀やヒ素などの重金属、様々なプラスチック製品が微細に分解されたマイクロプラスチック、直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質PM2.5など多種多様に及ぶ。こうした化学物質は、排出源からはるか遠方の北極や南極などにも広がり、海洋生物や極地に住む原住民の体内には無視できない量の化学物質が蓄積されていることが明らかになってきた。第一線の環境化学の専門家たちが、様々な視点から「地球規模の化学物質汚染」についての深刻な状況を報告する。  (書籍紹介 より)

 本書は、大きく二部構成となっている。一部は、近頃よく耳にするPOPs(残留性有機汚染物質)、マイクロプラスチック、PM2.5などをはじめ、重金属などの化学物質の性質や移動・分布の現状について詳細に説明してあり、海ごみの問題を理解するうえで大変役に立つ。二部は、それらがひきおこす影響の複雑さと影響把握の難しさについて、研究事例を記載してある。最後のエピローグでは、化学物質の有用性と、野外に広がる不都合な化学物質の存在を「化学物質をめぐる対立」とみなし、両者のバランスをとるために、環境化学の専門家の立場からの意見が示してある。

 

プラスチック汚染とは何か』 枝廣 淳子著、岩波書店 (2019/06/06)  目次
 安価で便利な素材として過剰に生産・消費され、大量に捨てられているプラスチック。特に海洋プラスチック汚染は二一世紀最悪の環境問題の一つと言われる。この問題の全体像を提示し、産業政策の側面にも光をあてて解決策を検討する。  (紹介 より)

 環境問題を起こしている根本的な間違いは、人間社会や経済が地球から大量の資源を取り出し、地球環境が処理できる限界を超えて、廃棄物として地球に戻していること。

 

★海ごみ問題のまとめ・啓発
海洋プラスチック 永遠のごみの行方』 保坂 直紀著、 KADOKAWA (2020/06/10) 目次 プラスチックごみによる海洋汚染や生き物の被害が世界中で報告されるなか、日本でも2020年7月からレジ袋が有料化される。マイバッグを持つのはいいが、それは本当に意味があるのか。問題を追い続けるサイエンスライターが、永遠のごみの現状を報告し、納得感のある向き合い方を提示する。(出版社からのコメント)

 

脱プラスチックへの挑戦 持続可能な地球と世界ビジネスの潮流』 堅達 京子+NHK BS1 スペシャル取材班著、山と渓谷社 (2020/02/01)
 2050年、海の中のプラスチックごみの量は魚の量を超える!空気や水、食べ物にもマイクロプラスチックが含まれ、その脅威は私たちの暮らしに迫りくる。石油という化石燃料から作られるプラスチックは、大量生産・大量消費の現代文明の象徴だった。いま、私たちの文明そのものを、急速に“循環型”で“脱炭素”の経済に作り変えていかなければ、温暖化が加速し“地球の限界”に達すると科学者は警告する。気候危機の回避に必要なのは、パラダイムシフト。日本企業は、この大転換をビジネスチャンスに変えられるのか。そして私たちにできることは?NHK BS1スペシャル『“脱プラスチック”への挑戦』のプロデューサーが、映像化されなかった数々の貴重な証言や驚きの事実とともに伝える警鐘ドキュメント! (出版社からのコメント)

 

容器包装をみなおそう! 海洋プラスチックごみ削減に向けて』 編集・発行;容器包装の3Rを進める全国ネットワーク (2018/09)  目次
 プラスチックによる河川や海洋汚染の深刻な現実を知らせるために作られた、20ページほどの冊子。ポイ捨てをなくし、使い捨てのライフスタイルを見直すとともに、国や企業に働きかけ、共に協力して一日も早くプラスチックによる海洋汚染を止めよう。私たち消費者が変わり、使い捨てプラスチック製品がなるべく作られないよう、国の法制度を変えることが重要な課題。

 

海を脅かすプラスチック 漂うレジ袋は氷山の一角』 ナショナルジオグラフィック日本版 2018年6月号、日経ナショナル ジオグラフィック社 (2018/05/30)  目次
 地球か、それともプラスチックか? ナショジオはプラスチック問題に取り組むことを宣言します。鳥シリーズ「タンチョウ」ほか魅力的な特集を満載。
 特集1:海に流れ出るプラスチック 廃棄された大量のプラスチックが海へと流出している。問題を解決しようと各地で取り組みが始まった。
 特集2:プラスチック4つの視点 プラスチックにまつわる課題を「生き物」「健康」「アート」「削減」と4つの視点からレポートする。

 

プラスチックスープの海 北太平洋巨大ごみベルトは警告する』 チャールズ・モア、カッサンドラ・フィリップス著、NHK 出版 (2012/08/25)  目次
 太平洋ごみベルトの発見は、ほんの始まりにすぎなかった。 状況はさらに劣悪だったのだ。 海洋に投棄された、想像を絶する量のプラスチックごみは、 いまや食物連鎖の中にまで入りこんでいる。 微粒子・ボトルキャップ・レジ袋は、海鳥や海棲哺乳類の餌にまぎれ、 遺棄漁具は、生き物にからみついて死に追いやっている。 すべての命の源である海は、知らぬ間に、 使い捨て社会のごみ捨て場になってしまった──。 この流れを止めるエコロジカルなイノベーションとは何か? プラスチック普及の歴史から、その毒性、生分解性樹脂の開発まで、 海洋ごみ第一人者が調査船での冒険談を交えて、徹底的に解明する。 (内容紹介 より)

 アザラシ、イワシ、海鳥などの大量死は、なぜ起きるのか──。 原油の流出事故、地球温暖化など、さまざまな原因が考えられますが、大きな要因のひとつとして、日常的に多用されているプラスチック製品があると著者は言います。現在、太平洋には日本の国土の10倍近い巨大なプラスチックのごみ溜まりがあり、重量にしてプランクトンのおよそ6倍ものマイクロプラスチックが浮遊していると推定されます。永久不滅のナノ粒子は、海洋生物や私たち人間にどのような影響を及ぼすのでしょうか? 本書は、調査航海の結果をもとに、プラスチックの誤飲誤食の問題、内分泌撹乱物質の危険性など、あらゆる方向から検証した海洋汚染警告書の決定版であり、『複合汚染』(有吉佐和子著)にも通じる衝撃の書です。 (出版社からのコメント)

 

海はゴミ箱じゃない! 岩波ジュニア新書 601』 眞 淳平著、岩波書店 (2008/07/18)  目次
 北海道から沖縄まで、日本各地の海辺に大量のゴミが流れ着いています。いったいどこから、どんなゴミが流れてくるのでしょうか?生態系への影響はないのでしょうか?増え続ける漂流・漂着ゴミの実態をレポートし、それらをへらすための様々な取り組みも紹介します。深刻化する海のゴミ問題について一緒に考えてみましょう。 (紹介 より)

 

環境と人間 海辺のペレットをさがして』 大竹 千代子著、小峰書店 (2000/10/10)  目次
 海辺にはさまざまなものが、波に打ち寄せられます。貝や海草、遠い島から流れ着いたヤシの実のような木の実もあります。でも、海辺に多いのは、じつは、人間がすてたゴミです。この本の主人公のみどりは、ふとしたことから、ペレットが海辺にたくさんあることを知り、それが、プラスチック製品のもとになるものだと教えられます。そこから、みどりのペレットさがしがはじまります。さあ、いっしょにペレットをさがしにゆきましょう。

 

プラスチックの海 ―おびやかされる海の生きものたち―』 佐尾 和子、丹後 玲子、根本 稔著、海洋工学研究所出版部 (1995/04/20)  目次
 私たちの日常生活に いつのまにか侵入してしまった 石油化学製品-プラスチック。自然に還ることのないプラスチックは 海を漂い、海の生きものたちをおびやかしている そして、廃棄物処理場を埋め今にも溢れ出そうとしている 海の生きものの視点でプラスチック文明を見すえた初めての書。

 

ひげ先生の書簡 漂着ごみ -海岸線の今を追って』 山口晴幸著、文芸社(2002/07/20)目次

遠き島より流れ寄るのは、ゴミ、ゴミ、ゴミ。日本の海岸は、巨大なゴミ箱! テレビ・新聞で紹介され、日本人に衝撃を与えた「漂着ゴミ」の実態を、ひげ先生が沖縄から北海道まで完全レポート。

 

海ゴミ ―拡大する地球環境汚染 中公新書 1906』 小島 あずさ、眞 淳平著、中央公論新社 (2007/07/25)  目次
 漁網が多数漂着する世界遺産・知床。海外からのゴミが流れ着く南西諸島。日々、特殊車両を使わないとゴミを除去しきれない湘南海岸…。いまや日本のすべての海岸が、大量の漂着ゴミで覆いつくされようとしている。それらのゴミはなぜ発生し、どこから来るのか。また、わたしたちの生活や生態系にどのような影響を与えつつあるのか。そして、いま求められる対策とはなにか。忍び寄る海ゴミの脅威の実態に迫る。
 命を育み、われわれに食の恵みと安らぎをもたらしてくれるこの海は、どうなってしまうのだろう。今の海は、まるで人類の巨大なごみ箱になってしまったかのようだ。私たちは、日々ごみを出しながら暮らしている。海のごみ問題の現状を知ることは、みずからの暮らしぶりを見つめることであり、人類の未来を見つめることでもある。私たちの生活の鏡ともいえるごみについて、海の視点から問いつづけていきたい。  (はじめに より)

 

★ごみ問題
リサイクル 回るカラクリ止まる理由 シリーズ 地球と人間の環境を考える 6 』 安井 至著、日本評論社 (2003/06/20)  目次
 盛んにリサイクルが叫ばれているが、環境に負担をかけていないだろうか。さまざまな飲み物容器で、環境にやさしいのはどれだろうか。第一人者が、材料から製品まで一つ一つていねいに紹介する、リサイクルのすべてがわかる本。 (出版社のウェブサイト より)

 リサイクルは、自然に回る素材もあるが、回ったり止まったりする素材もある。そこで、法律によってだれが費用を負担するか決めて動かしているのが、日本のリサイクルのカラクリだ。さらに、リサイクルすると同じ製品になって戻ってくるとの思い込みには、何か良いことをしたとの満足感を与える危険性が潜んでいる。しかし、多くの場合、物理学的にそんな甘いことは無理。どうせ回すならリサイクルではなく、再度使うリユースが良く、さらにもっと良い方法は、使う量を減らしてごみを減らし、資源の枯渇を防ぐことだ。日本の社会は、経済指標のGDPを増加させるために、いまだに無駄遣いを薦めている。しかし、無駄遣いで経済が拡大する状況が、今後長く続くとは思えない。北欧では、すでに異なる発想から、ごみの量を減らしている。

 

枝廣淳子の 回収ルートをたどる旅』 枝廣 淳子著、七つ森書館 (2006/11/25)  目次
 「通販生活」(カタログハウス)の連載で、ペットボトルから家まで16の回収ルートをたどったとき、「もったいない」という素敵な日本語をカタチにしようとする熱い思いに出会いました。社会や経済、暮らしや価値観を幸せな方向に変えていく最初の一歩が見えてきます。 (帯 より)

 本書は、状況の悪化を嘆き悲しむ悲観的な本でも、だれかが悪いと告発・非難する本でもありません。事実も思いも含めて、できるかぎり現場の様子を伝え、そこから日本や私たち、そして世界の抱えている本質的な問題をそれぞれが感じ、考えてもらえればと思って編纂した本です。
 環境問題について「知る」時代は過ぎました。ほとんどの人が環境問題の存在とその原因や取るべき対策を漠然とながらも知っています。いま必要なのは、そのような問題に対して「行動する」ことです。その意味で、本書では、それぞれの章の最後に「アクションにつながる具体的なポイント」をまとめました。ご存じのこと、すでにおこなっていることがほとんどかもしれません。でもひとつでもふたつでも、参考になれば幸いです。
 そして、本質的に時間との戦いである環境問題に関心を寄せている(からこそ本書を手にとってくださった)読者は、自分が「行動する」にとどまらず、「伝える」ことで、環境問題への取り組みや解決策を大きなうねりにしていく役割を担う人々だと思っています。時間が無限にあれば、少しずつ意識啓発をしたりしくみを変えていくことで、環境問題は解決できます。現在、私たち人類が直面しているのは、「時間切れになる前に、社会や経済のしくみ、人々の暮らし方やその根底にある価値観や意識・無意識の前提を大きく変えていく」という課題なのです。
 本書が、それぞれが「伝えていく」ために少しでも役立てば、これほどうれしいことはありません。残り時間が少なくなりつつある現実を見据えながらも、「焦らず、あわてず、あきらめず」に、この環境問題が人類を次の進化のステージに引き上げてくれるチャンスだと、「こうなったらいいな」という遠い理想像に目をこらしつつ、目の前の1歩、2歩を進んでいきましょう!  (まえがき より)