海ごみとは?

★本サイトでは、海のごみについて、以下の意味で言葉を使用しています。

  ・海岸に漂着したごみ = 漂着ごみ
  ・海面・海中を漂うごみ = 漂流ごみ
  ・海底に沈んだごみ = 海底ごみ
  ・これらをまとめて、海洋中や海岸で見つかるごみ全体 = 海ごみ

海ごみの種類
漂着したプラスチックごみの内訳
漁業系のごみ
生活系のごみ
プラスチックゴミをたくさん出している国は?


海ごみの種類

 環境省が、全国10地点の砂浜50mの範囲の漂着物を調べた調査では、漂着した人工物のうち重量で5割以上、容積や個数では7~8割が、プラスチック類でした(プラスチック類はふつう軽量なので、重量比では割合が小さくなります)。やはり、海の漂着ごみの大部分がプラスチック類であることがわかります。

漂着したプラスチックごみの内訳

 さらに、漂着したプラスチック類の内訳を見ると、漁業系(漁網・ロープ、ブイ、発泡スチロールブイ、その他漁具)が重量で約6割、個数で約4割を占めます。逆に、重量で約4割、個数で約6割は、漁業ではなく私たちの暮らしから出るごみだということです。

 海ごみは、決して海で使われるものばかりがごみになっているのではなく、陸上での生活ごみが海に流れ出しているものが多いことがわかります。海ごみの発生源の少なくとも半分は、海ではなく陸なのです。

漁業系の海ごみ

 漁業系のごみには、網や浮きなどの漁具があります。漁具は、昔は天然繊維の網やガラス玉の浮きが使われていました。ところが、プラスチック繊維のロープや網、発泡スチロールや硬いプラスチック製の浮きが現れると、海水中でも劣化しにくい材質として、プラスチック製品が広く使われるようになりました。

 しかし、定置網や刺し網、養殖筏などは、悪天候で壊れたり流されたりして、その一部が海岸に漂着することがしばしばあります。基本的にどれも大型なので、漂着物の数は少なくても、重量や容積では大きな部分を占めています。

 漁具には、大小様々な浮きもついており、固定しているロープが切れれば、ばらばらになって漂流します。養殖筏では、筏を浮かべるために、一抱えもある大型の発泡スチロール製の浮きがいくつもとりつけられています。これが壊れて海岸に漂着すると、砂や岩で粉々に砕け、無数のマイクロプラスチックとなります。

生活系のごみ

 漁具以外の海ごみのほとんどは、陸上の私たちの暮らしから出るプラスチックごみです。中でも数が多いのは、タバコの吸い殻です。フィルター部分の化学繊維は、いつまでも残ります。また、ペットボトルをはじめとする、飲食のための使い捨て容器も多く見られます。これらには、海岸でポイ捨てされたものと、町や川でポイ捨てされて、海に流れ出たものが含まれます。

 他にも、使い捨てライター、歯ブラシ、洗剤の容器など、多様な生活用品が海岸で見つかります。これらは海に直接捨てられた可能性もありますが、むしろ、陸上や川への不法投棄、ごみの収集場所での散乱、屋外のごみ箱があふれたものなど、様々な発生源が考えられます。また、屋外で使用されるプラスチック類(洗濯ばさみ、プランター、人工芝、カラーコーンなど)が劣化して破損し、道路の側溝や川を通って海へと流れてきたものもあります。

 家庭排水から流される、細かいプラスチック類もあります。スクラブ剤のプラスチック粒子、メラミン樹脂製のスポンジの削りかす、洗濯時の化学繊維の糸くずなど。中には、ナノサイズという微細なものもあります。小さくても環境中で完全に分解することはなく、下水処理をすり抜けて海へと流れ出ます。

 天然素材はやがて分解されてなくなりますが、プラスチックごみは劣化して小さくなっても完全には分解されず、海に溜まり続けることになります。つまり、わたしたちがプラスチック類を使い続ける限り、その一部が海の中にどんどん溜まり続けます。これが、主要な海ごみがプラスチックである理由の一つです。暮らしの中から、少なくとも使い捨てプラスチックの利用を減らさない限り、海ごみは増えるばかりです。

 農業から出るプラスチックごみもあります。古くなって放置された農業資材が劣化したり、台風や大雨で川に流され、やがて海に出ます。海岸でよく見かける農業資材には、マルチの黒いビニール片、育苗ポット、育苗トレー、肥料袋、遮光ネット、防虫ネットなどがあります。また、徐放性肥料カプセルという、2~3mmの細かいプラスチックごみが多く流れ出る地域もあります。

プラスチックごみをたくさん出している国は?

 プラスチックごみの排出量が最も多い国は、中国です。上位には、人口の多いアジアの国々やインドが並びます。

 しかし、一人当たりの排出量で見ると、最も多いのはアメリカで、2位は日本です。日本は、食品をはじめとする商品パッケージの個包装や、過剰包装が多いのが特徴です。国連の統計データによると、2018年の人口は、1位が中国の14億2764万人、2位がインドの13億5264万人、そして3位がアメリカで、3億2709万人。アメリカは上位2国とは10億人以上の差があります。日本は第10位で1億2720万人。人口は中国やインドの10分の1以下です。

 アメリカや日本は、それだけ使い捨て文化が根付いていると言えるでしょう。これは、私たちの生活を見直す余地が大いにあるということです。